松下先生の医療面接・患者教育勉強会

【日時】 平成17年1月8日(土) 9:30〜

【場所】 岡山大学・南病棟11階 11Cカンファレンスルーム

【目的】 患者教育とは何か?患者教育を実践法を学ぶ

【参加者】
[講師]
松下 明  先生(奈義ファミリークリニック)

[医師]
斎藤裕之 先生(奈義ファミリークリニック)
森 敬良  先生(出雲家庭医療センター)
高橋 淳  先生(岡山協立病院)
宮本雄一 先生(県立神石三和病院)
吉田登志子先生(岡山大学行動小児歯科学分野)
佐藤涼介 先生(佐藤医院)
安田英己 先生(安田内科医院)

[学生]
・6回生
芝 直基 (岡山大)
高橋徳幸 (岡山大)
宮沢麻子(岡山大)
松井善典(滋賀医科大)

・5回生
石橋直樹(岡山大)
大木乃理子(岡山大)
大貝千草(岡山大)
中山明子(岡山大)
中野由加里(岡山大)
林 幹雄(川崎医科大)
日野智子(川崎医科大)
松坂英樹(川崎医科大)
青山淳夫(島根大)
石井貴子(大阪大)
金子春香(福島県立医科大)
菅波 梓(福島県立医科大)

・4回生
井上英美(岡山大)
西連寺智子(岡山大)
浜中智子(岡山大)
松本 享(岡山大)
李 静雅(岡山大)
村田 将(島根大)
福田 徹(三重大)
不破智子(三重大)

・3回生
野中慶佑(岡山大)
吉井祥子(島根大)
藤川ひとみ(山口大)

・1回生
湯口 賢(岡山大)

【スケジュール】
 開場:9:00
 開始:9:30
     講師紹介、自己紹介

 1部:患者教育 9:50-11:50
     患者教育の基本となる解釈モデル・感情面の対応

 ランチョンセミナー 12:00-13:00
     製薬会社の話「スピリーバ:COPD治療薬。長時間作用型吸入気管支拡張薬」
     森敬良先生(出雲家庭医療学センター)による講演

 2部:患者教育 13:10-15:10
     行動変容のステージモデル ほめ上手になる

 3部:患者教育 15:25-18:25
     「患者教育応用偏と実践偏」 
     関心期の患者さんに自信度・重要度モデルをやってみる
     (医学生・研修医・若手医師・開業医混合)
     感情面の対応もきちんとやれるか? 

 先生方の為の連絡会(18:30-19:30)〔別室にて〕


 懇親会:20:00〜(山佐本陣にて)
     様々な大学の学生、研修医、医師と親睦を深めましょう!

【感想】(ML上に流れた感想より)


松下先生による医療面接についてのレクチャー。

オシアの皆様こんにちは。岡山大6年の宮沢です。
遅くなりましたが先日のWSの感想を送ります。

まず、あのように系統立った患者教育理論をはじめて教えていただけたことが非常に貴重な経験でした。
これまでも、行動変容・解釈モデルなど少しは勉強して知っていたつもりでしたが、きちんと概要がつかめていなかったことが今回よくわかりました。

講義の中で、患者さんの様々な訴え・考え(これを「病い体験」と表現していることにまた感動)を受け、それを理解すると同時に当然医師として病歴聴取や診断をすすめていかなければならない、その行ったり来たりが出来ないと信頼に基づいて同じ目標に向かっていくことが出来ない、という図の説明がありました。このお話で、これまで自分の中で今一つバラバラだった医療面接から治療までが一つの大きな流れになって、改めて医療面接の大切さを思い知ることができました。



先生の講義を皆しっかり聞いてます!

また、医療面接に目標を設定することの大切さも感じました。
もちろん初回はしっかり話を聴くということに尽きると思いますが、今回の症例のように少しずつ生活改善を考えてもらおうという生活習慣病の方の継続外来では、「今日はできれば一つ新しい目標を持ってもらいたい」とか「自信度が低いようなら自信を高めるアプローチをしてみよう」とか、毎回医師なりに面接における目標を持って臨むことも効果的な医療面接のために重要だと感じました。
(もちろんご本人と話してみて流動的になることではありますが)

それから、今回医療面接を4段階に分けて項目ごとに面接の練習をしたことによって、その時学ぶべきことが明確にわかって非常に良かったので、普段オシアで行っている医療面接の練習にももっとはっきりと目標を設定しなければいけないと感じました。
傾聴の練習、ほめる練習、共感する言葉を伝える練習や、適時まとめを入れる練習など、たまには面接全体としての完成度よりも詳細を重視した練習を取り入れてみるのもいいと思いました。







松下先生(右;医師役)VS吉田先生(左;患者役)!!


森先生による出雲家庭医療学センター
立ち上げについての講演

私が最も嬉しかったのは、「面接の最後にエネルギーを注ぐ」練習で松下先生が患者役で面接をさせていただいた時に、いつもなら制限時間のために尻切れトンボになってしまうところを、なぜかこの時は初めて、次回の診察日につなげて面接を終了させることができたということです(松下先生マジック?)。
これで満足してはいけないのですが、でもちょっと感動してしまいました。今後の自分の支えになるようないい体験をさせていただきありがとうございました。

あと印象的だったことですが、私達学生はつい糖尿病のコントロールが悪い人に「患者教育」となると糖尿病を治す方向に目が向いてしまい、最後の面接の時も「禁煙して糖尿病がよくなる訳じゃないけど…」とか「糖尿病だけで心筋梗塞になる訳じゃないけど…」とか考えてしまい、やや混乱してしまったふしがありましたが、後になってようやく何が違っていたのかわかりました(今さら当たり前のことですが)。


この「患者教育」「医療面接」で相手にしているのは糖尿病ではなく「平井りえ子さん」であって、平井さんの健康ひいては人生に有益だと思うことは、医師として提案してみて当然だろうということです。
そうなると禁煙はこの方への提案として非常にもっともで、しかもちょうど心臓のことに興味(心配)を持っていることがわかったのでこのチャンスを生かし禁煙に向けて一歩進めてみる、という最後の面接の流れがこれでようやく納得できました。

全人的視点というのは、自分の思っている以上に出来そうで出来ないものなのだと痛感しました。これからも勉強を続けていきたいです。

松下先生、齊藤先生、充実した一日を本当にありがとうございました。岡山まで集まって下さった皆様もお疲れさまでした。ありがとうございました。たいへん乱文で恐縮ですが、これにて失礼いたします。


宮沢 麻子(岡山大学6回生)




グループに分かれての医療面接(ロールプレイ)
その1



グループに分かれての医療面接(ロールプレイ)
その2


グループに分かれての医療面接(ロールプレイ)
その3

こんにちは、岡山大学4年の西連寺智子です。
私も松下先生の医療面接WSについて、感想を皆さんにご報告させてもらいます。

私は医療面接について実際勉強したことがなく、オシアの定例会で毎月(私は10月から参加させてもらっています)
実践だけをしてきました。私は医療面接の理論や「やり方」については全く知らないで、フィーリングでやってきたきました。今回は資料を使って、効果的な医療面接のモデルを学べて非常に勉強になりました。

先生方の面接を見させて頂いて、そこには芸術を感じました。患者さんが言いたいことを聞くと同時に、医師として必要な情報を引き出し、そこにいる患者さんを1人の個人としてみていることに感激しました。症例の「平井りえ子」さんはお好み焼きの店を切り盛りする母であり、主婦でもあり、奥さんでもあります。そういう彼女の色んな面を理解しないと、彼女にとって一番いい治療法は分からないだろうと思いました。

学んだモデルをすぐに実践するのは難しくて、あまり意識しすぎると逆に患者さんとのコミュニケーションがぎこちなくなったり、患者さんの全体像がつかめなくなったりしました。自分が思うように医療面接ができなくてもどかしく感じることがありました。医療面接はいろんな患者さんと実際に行うことで上達することだろう、と思っています。
これからもオシアでもたくさん練習をして、より効果的な、いい面接ができるようになればな、と思っています。

医療面接では「医師ー患者」同士のコミュニケーションが行われますが、結局は人間と人間の会話だと思います。日常の中でいかに人の話を聞けるか、そして励ましたり、助言したり、サポートしたりできることが、大事になってくるのではないかと思いました。そういうこともを改めて考えさせられた、本当に意味のある勉強会となりました。

お忙しい中、お越しくださった松下先生、斎藤先生、
そして他の先生方や学生さん、ありがとうございました。
また一緒に医療面接の勉強をすることがあった時には、
もう少し上達できていればな、と思います。


西連寺智子(岡山大学4回生)




グループに分かれての医療面接(ロールプレイ)
その4


グループに分かれての医療面接(ロールプレイ)
その5

岡山大学5年生の中野です。
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

松下先生の勉強会の感想を投稿します。

まず、各部の印象を述べます。
第1部では、‘患者さんに共感する=気持ちを理解する’という言葉が非常に印象に残っています。
第2部では、‘ほめ上手になる’ということの難しさ、聞き上手になることの難しさを感じました。
第3部では、‘重要度と自信度’を考慮しての患者教育、ということでしたが、‘とても難しい!!!’と感じました。

そして、勉強会全体を通して感じたことは、人はそれぞれ自分とは全く異なる価値観を持っているので、その人の気持ちを理解することはできても、ほめたり、話を聞いたり聞いてもらったり、ある方向に目を向けてもらい、それを維持してもらうことはとても難しい、ということです。ともすれば出てきそうになる‘自分’を抑えなければならず、しかも相手を理解し受け入れ、かつ相手に信頼してもらう、ということが‘果たしてできるようになるのだろうか?’と、今の私は感じています。

それから、先生は大変だったと思いますが、説明のあとすぐにロールプレイ&フィードバック、ということで、各部4回はロールプレイがあり、全員医師役をすることができたこと、患者さんとしての松下先生と医療面接をほぼ全員がしてフィードバックをもらえたこと、はとてもよかったことだと思いました。 (今日の定例会は‘復習する’、ということでしたが、かなりの部分が頭に残っていたように思います。)

それから、森先生の出雲家庭医療センターの話では、新しく組織を立ち上げて運営することは大変であるとともに、先生の話し方から‘やりがいがあるんだろうなぁ’と感じました。(先生、違っていましたら、申し訳ございません。) これから、地方での高齢化・過疎化がますます進むことを考えれば、 非常に興味深い話でした。



勉強会後の懇親会で。

書きたいことはもっともっとたくさんありますが、この辺りで終わりにします。

最後に、松下先生を始め、このような勉強会を企画・運営された方、また参加された方にお礼申し上げます。ありがとうございました。

寒い日々が続くようです。お元気にお過ごしください。


中野 由加理(岡山大学5回生)