松下先生による『行動科学ワークショップ in 奈義』
日時:2005.7.16、17
場所:奈義町菩提寺研修センター
参加者:12人+SPさん2人

16日(土)
昼間は奈義ファミリークリニックにて松下先生の外来を見学しました。(午前、午後各3名)
夜は菩提寺でBBQをした後、翌日にやるロールプレイの症例について検討会を行いました。
事前に集まることができたので、患者役のシナリオの読み込みを行いました。
ロールプレイでは患者役も重要であるので、少しでも上手に行えるようにと考えたものです。
いままでに行ったことのない方法だったと思います。
ちなみに症例は「糖尿病の患者さん。半年前よりHbA1cが増加してきており、合併症も
出現し始めている。ご主人が脳梗塞のあと、脳出血も起こし半身麻痺となりひとりでお好み
焼き屋を切り盛りしている。4ヶ月前に息子が大学に入り東京へ行った。

17日(日)
朝8時よりWS開始しました。
学生3人×4グループになり、SPさんお二人が順に回って頂く形をとりました。
松下先生はSPさんの一人と一緒に観察者として回りました。

流れは以下の通りです。
1.イントロダクション
 「医者の聞きたいこと」と「患者の話したいこと」は重なる部分は少ない。
上手にこの2つを行ったり来たりしながら医療面接を進めることが大事である。

2.ロールプレイ面接の基本
 できる限り医者役が話さずに「相槌」や「頷き」だけで上手に患者さんの話しを
 引き出してみる。

3.レクチャー『行動変容のステージ』
 患者の行動様式は無関心期、関心期、準備期、行動期、維持期、再発期の各段階を経ると 
 言われており、それぞれの段階における対応の仕方がある。

4.ロールプレイ「関心期⇔行動期」への対応
 最も多い関心期⇔行動期にある患者さんへ対応する。とにかく「褒める」ことが大切。
 良いタイミングで上手に褒めることで、患者さんが行動を継続しけるようにサポートする。

5.松下先生によるデモ 患者役:SP西谷さん
 「家族志向のケア」を念頭に入れて
 「関心期⇔行動期」にある患者さんをきっちりサポートし、患者さんの家族背景
(ご主人について、息子さんについて)を探る。

<昼食>

6.レクチャー『感情面への対応について』
 効果的な医療面接における4つの習慣について説明し、とくに今回のWSの中で最も重要となる
 「共感」するとはどういうことかを解説。

7.ロールプレイ「感情面への対応」
 「怒り」を持った患者さんへの対応の仕方を学ぶ。起こった患者さんに対してどのように対応すれば、
 患者さんの怒りは消えるのか?

8.松下先生によるデモ 患者役:SP坂田さん
 「怒り」を持った患者さんへの対応
 (みんなが苦労した「怒り」への対応を松下先生がひとつのお手本を見せてくれました)

9.レクチャー『家族のライフサイクル』『重要度自信度モデル』
 患者さんを理解するのに、その背景にある家族との関わりを聞くことは、その人をイメージするのに
 非常に有用である。
 関心期にある患者さんに対しての手法として「重要度-自信度モデル」を紹介。

10.ロールプレイ「関心期にある患者さんへの対応」
 運動療法or食事療法の1つができてきた患者さんをサポートし、さらにもう1つ何かがんばれないかを伺う。
関心があるものを引き出して、その重要度や自信度を尋ねる。


以上のように、非常に充実した内容で、とても学ぶことが多かったです。

今回、当直の直前まで僕たち学生のために時間を使って頂いた松下先生。
2時間かけて岡山から参加して頂いた西谷さん、坂田さん。
本当にありがとうございました!

岡山大学医学部医学科5年
松本 享