岡山道場 EBMセッション with 名郷先生

【日時】 平成17年2月26日(土)、27日(日)

【場所】 岡山大学医学部キャンパス 基礎棟3階 大学院第一講義室

【目的】 楽しくEBMを学ぶ!

【参加者】
[講師]
名郷 直樹 先生
室林 治   先生
鈴木 孝明 先生
桐ヶ谷 大淳先生
日比野 壮功先生

[医師]
柴田 麻里 先生(岡大付属病院研修医)
中井健太郎先生(飯塚病院研修医)
西野 正人 先生(岡山協立病院研修医)
森本 英樹 先生(市立堺病院研修医)
長村 智子 先生(近江八幡市民病院内科)
村山 善紀 先生(村山医院)
安原 尚蔵 先生(ヤスハラ医院)
吉國 晋   先生(JA尾道総合病院小児科)

[学生]
・6回生
芝 直基(岡山大)
宮沢 麻子(岡山大)

・5回生
大木乃理子(岡山大)
大貝 千草(岡山大)
中野由加理(岡山大)
林 幹雄(川崎医科大)
松坂 秀樹(川崎医科大)
水原 祐起(京都府立大)
木村 卓二(鳥取大)
村上 剛平(鳥取大)
井上 諭(鳥取大)
望月 亮(広島大)
一町 澄宜(広島大)
角南 隆史(九州大)

・4回生
井上 英美(岡山大)
西連寺智子(岡山大)
浜中 智子(岡山大)
松本 享(岡山大)
篠井 尚子(岡山大)
前川 道隆(新潟大)

・3回生
野中 慶佑(岡山大)

・1回生
湯口 賢(岡山大)

【スケジュール】
2月26日(土)
 14:30〜15:00 アイスブレーク
 15:00〜16:00  EBM入門編
            EBMに必要な知識の整理など
 16:20〜19:00 EBM治療編
            小グループ形式のWS
            問題の定式化からEBMの5つのステップの実践を、ロールプレイを交えながら行いました。
 19:30〜     懇親会
2月27日(日)
 9:00〜13:00  EBM診断編
            小グループ形式WS
            シナリオにもとづいたEBM診断編を行いました。

【感想】(ML上に流れた感想より)


EBM治療編の講義。みんな真剣に聞いています。

岡大5年の大木です。
2月26日、27日に行われました、岡山道場EBMセッションの感想を送ります。

名郷先生、室林先生、鈴木先生、桐ヶ谷先生、日比野先生、と5人もの先生方に囲まれ、あっという間の2日間でした。1日目も2日目も論文が出てきたり、難しそうな式が出てきたりしているにも関わらす、時間が立つのがとても早かった様に思います。

EBM治療編では、論文の結果が患者さんに適用できるか、またどのように患者さんに伝えるか、というところが最も盛り上がりました。



医師役と患者役に分かれてロールプレイ。

コレステロール270mg/dlの人にプラバスタチンを飲んでもらうかどうか、患者さんに判断してもらう前に医師が情報をあげないといけないけれど、伝え方にはどうしても主観が入ってしまい、飲むか飲まないか5分5分のところで選択をさせることはとても難しく感じました。また、30%は心筋梗塞を防げるといっても、薬を飲んでも心筋梗塞になる人も入れば、飲まなくてもならない人もいるので、どこまで具体的な数値を出すか、で議論になりました。

データだけ見ていると目の前の患者さんをつい忘れそうになりますが、患者さんにとって大切なことを考えながら、どうしたらいいか一緒に迷うことも大事なのかな、と思いました。






1日目の勉強会が終了。その後の懇親会の様子です。


懇親会の集合写真。皆さん,ちょっと顔が赤いです。

EBM診断編でも、やはり盛り上がったのは患者さんへの適用でした。虫垂炎疑い30%の患者さんへの説明を私たちのグループでは、30%をどう受け止めるかは人それぞれなので、あえて数値を出して患者さんの意思(手術ができる病院に行くか、腹膜炎になるリスクを承知で待機するか)を引き出す、という意見も出れば、不安を増大させないように虫垂炎の可能性は半分以下ですよ、と柔らかく伝える、という意見も出ました。EBMを使っても答えが出ないことは多いけれど、迷うことも大事、という名郷先生の言葉が心に残りました。

他にも、歩きながら論文を読む方法や仮説演繹法の演習など非常に充実した内容で楽しかったです。


今回、岡山道場・EBMセッションの私の目標は、難しそうなEBMのイメージを変えること、EBMセッションに初めて参加する人でも楽しんでもらうことでした。セッションの運営では不備な点もありましたが、講師の先生方のお力や参加者の熱気、オシアの皆の協力もあって無事終えることができました。

名郷先生をはじめ、室林先生、鈴木先生、桐ヶ谷先生、日比野先生、本当にありがとうございました。

大木 乃理子(岡山大学5回生)



2日目開始。鑑別診断リストを作成中。


岡山大学一年、湯口賢です。


はじめに、名郷先生、室林先生、鈴木先生、桐ヶ谷先生、日比野先生、2日間にわたってのセッションをしていただきありがとうございました。ふつう一年では体験できないような濃い内容を学べて、とても楽しい、あっというまの二日間でした。この経験を頭の片隅に残しながら残りの五年間とそれ以降に生かしていきたいと思います。最後に名郷先生がおっしゃっていた「学生時代は、国試に合格することが最重要。そして、医学の勉強以外の多くの物に触れることが大切」とのお言葉も忘れないようにしようと思いました。





論文のPECOを探せ!!

さて、セッションの内容についてですがPECOを用いて論文の本題を読んだレクチャーと、VINDICATE−POを基に右下腹部痛の診断の可能性を考えたレクチャーが最も興味深かったです。

症例研究のような論文が山のようにあることは知っていましたが、それらを具体的に医師はいつ使うのか疑問だったため、「そうかEvidenceを必要とするときにも使うのか」と疑問が解決してすっきりしました。ということは、IT時代になって他の分野でもよく言われていますが、大量の情報の中から自分の必要とする情報を的確に抽出してくる技術が必要不可欠である気がしました。

ロールプレイをするたびに感じるのですが、ロールプレイは昔やったお医者さんごっこを発展させたような物であること。だからかはわかりませんがロープレはいつも楽しんでいます。




医師役と患者役に分かれてロールプレイ。


集合写真。名郷先生、室林先生、鈴木先生、桐ヶ谷先生、
日比野先生、2日間本当にありがとうございました!

また、論文にある実証データ(事前オッズ、likelihood ratio、事後オッズ)を患者さんに伝えようとしたシーンでは、ロールプレイにもかかわらず患者側、医師側にそれぞれ違う価値観があることを改めて感じさせられました。同じことを言ったとしてもその感じ方は人それぞれであることは誰しもが知っていることですが、それを目の前にすると、「どう伝えるか」、また「どのように伝わるか」を考えることは重要なことだなと痛感しました。

最後にもう一度、先生方、楽しいセッションをやっていただきありがとうございました。次にお目にかかることがあれば、その時もよろしくお願いします。


湯口 賢(岡山大学1年)