【第3回】高階先生・聴診道場 in 大阪

【日時】 平成17年5月8日(日)
      10:00〜16:00

【場所】 臨床心臓病学教育研究会 ジェックス研修センター
     (大阪市淀川区西中島4-6-17 新大阪シールビル4階)

【目的】 イチローを使って循環器の聴診・触診・視診を実践的に学ぶ!

【参加者】
[講師]
高階 經和 先生

[学生]
・6回生
中山 明子(岡山大)
石橋 直樹(岡山大)
松坂 秀樹(川崎医科大)
青山 淳夫(島根大)

・5回生
井上 英美(岡山大)
権 淳美(岡山大)
西連寺智子(岡山大)
浜中 智子(岡山大)
松本 享(岡山大)
稲垣 友紀子(神戸大)
吉川 美喜子(滋賀医科大)

・4回生
野中 慶佑(岡山大)
中野 嘉子(大阪大)

【感想】(ML上に流れた感想より)


まずは心疾患の患者さんに対する問診の取り方の講義

岡大6回生の石橋直樹です。
先日(5/8),参加させて頂いた高階先生の循環器道場in大阪の感想を送ります。

私は,今回初めて高階先生の循環器道場に参加させていただいたのですが,全体を通して非常に勉強になりました。
岡大にもイチローがあるため,大学での臨床実習で一度イチローを使ってみた事があったのですが,やはりイチローはphysical examinationを熟知した方が教えて初めて,その価値が十分に発揮されるのではないでしょうか。それほどに,イチローから得られる情報量の多さが違いました。
例えば,三尖弁閉鎖不全の頸静脈v波の増高や肥大性心筋症の三峰性の心尖拍動をへらを使って診るなど,dynamicで非常に驚きました。




イチローを使った聴診に入る前にセルフ アセスメント テスト

また,しっかりと系統立てて,所見の取り方を教えて頂いた事も貴重な体験だったと思います。
頸静脈の視診や,心音の聴診(収縮期・拡張期雑音,雑音の最強点,II音の分裂,III音,IV音),振戦の触診の仕方を正常の循環動態と,各疾患の病態生理を交えて,教えてくださった事で混沌としていた頭の中も,少しずつ整理されていく気がしました。
個人的に印象に残っている事は,II音の呼吸性分裂を聞く時にしっかり腹部で呼吸を見ながら聴診しなさいと言われたことです。(6年生にもなって分かっていないのが,恥ずかしいんですが…)
呼吸の確認は,腹部の方が分かりやすい事は頭の中では分かっていたのですが,いざ,II音を呼吸に合わせて聞こうとしたときに実践できていなかったのです。




イチローの使い方を学びつつ…

その様な事は,数多くあるphysical examinationの中では,細かく小さな事かもしれませんが,実はきっちり診察する上で重要なテクニックだったりすると思うんです。
そんな事は,本に書いてあるよと言われれば,それまでなんですが,それでもその所見の取り方が本当に重要なんだという事を実体験として学べる場は,学生にとってなかなか無かったりするんじゃないんでしょうか。

高階先生,貴重な機会を本当にありがとうございました。

「イチロー」研修で学んだ事は,実践していかなければ,また忘れてしまうものです。ですから,これから臨床実習や岡大のイチローを使って,今回学んだ事を定着させ,さらに多くの事を学んでいきたいと思いました。



頸静脈波を見る!!

後日談になるのですが,実は,「イチロー」研修の後,大学での臨床実習で受け持った患者さんがたまたま完全右脚ブロックだったのです。早速「イチロー」研修で学んだ事を実践してみました。
橈骨動脈で脈を触れて,腹部をみながら呼吸を確認して…その結果,きちんとII音の病的分裂を聞く事ができました。患者さんには申し訳ないですけれど,嬉しかったです。

高階先生,今回はこの様な機会を与えてくださり,本当にありがとうございました。

石橋 直樹(岡山大学6回生)




頸静脈波を見ながら聴診。

心尖拍動をヘラを使って見る!

岡山大学4年の野中慶佑です。
先日参加した聴診道場の感想を送ります。


私は、現在4年生でやっと臨床の講義が始まったばかりです。研修を受けたときは、循環器の講義で心音についてはすでに聞いていました。しかし、T音・U音やその異常音、ランブルなど、講義で話を聞いただけでは正直実感がわきません。そんな時、心音聴診が体験できるイチロー研修のことを聞き、また中山さんもちょうど4年生の時に初参加されたそうで、強い勧めもあって参加させていただきました。

疾患別に心音のパターンを聞けることはもちろん、イチローでは心音だけでなく脈拍も実際に触れることができるのに驚きました。頚動脈や橈骨動脈で脈をとりながら聴診する、というのは講義では聞かなかったのでそれも勉強になりました。なにより聴診初体験だったので、雑音や異常音を聞くことができるだけでおもしろかったです。




高階先生の著書「もう一人の「イチロー」物語」を1人1冊
頂いた上になんと先生直筆のサインも頂きました!!

あの日の研修で、全ての疾患の心音・雑音を聞き取ることは難しかったです。聴診器を当てるポイントが違えばうまく聞こえないし、4つの聴診部位の音の変化で病状を把握するためには、その病気について詳しい知識が必要になる。
まだまだ勉強が必要だと感じました。しかし、研修後、この1週間の循環器の講義中や、 自分で勉強していて心音のことが出てくると、研修を体験したおかげでずいぶん理解しやすくなりました。ポリクリが始まる前にまたぜひ、イチローで練習したいと思います。

話は変わりますが、購入させて頂いた「やってみようよ!心電図」は、説明がとてもわかりやすく、循環器の試験もこれでばっちりです。友人にも自信を持って勧めました。




最後に皆で集合写真。

今回はお忙しい中、時間を割いていただきありがとうございました。
臨床実習が始まる前に、高階先生の生講義、生研修をうけることができて、本当に貴重な体験をしたと思っています。
現在は簡便な検査機器の発達によって、聴診を軽視しがちになってしまいそうですが、 すぐ機械に頼るのではなく、自分の「身についた診察技術」をまず頼ることができるように学生のうちから勉強していくつもりです。

野中 慶佑(岡山大学4回生)